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ピーター・オトゥールに捧ぐ



ピーター・オトゥール様、

12月14日にあなたが亡くなったと、友人のフェイスブック投稿で知りました。老年になられてからも、映画トロイにも出演されて、その凄い存在感は健在だったのに。とても残念です。僕自身のなかでは、あなたといえば、そのままトーマス・E・ローレンス中尉です。デビッド・リーン監督による名画で、画面狭しと暴れまわる歴史的ヒーロー。

破天荒な人生を送ったローレンス中尉。彼を、こうして身近に感じることが出来るのも、映画「アラビアのロレンス」が残されているからです。DVDやBDで見られるなんて、なんて幸せなのでしょう。あなたが、ロレンス中尉生き写しの演技をされたからです。

砂漠の空に向けて輝く青い瞳。風になびくターバン。ラクダと一体となって疾走する影。振り上げられた刀。砂嵐とともに翻弄される人々の運命。武勇伝と悲劇とが錯綜する壮大なストーリー。75ミリフィルムに焼き付けられた渾身の演技。その全てに敬意を捧げたいと思います。

バビロンの研究に没頭した考古学青年ロレンスは、いつしか砂漠の民とともに戦う兵士となった。アラブ世界の独立のため、オスマントルコ軍に立ち向かうゲリラ隊を指揮する砂漠の戦士になりました。

歴史の大転換点に颯爽と現れたロレンス。大学の卒業論文は、中近東に残る十字軍の遺跡に関するものだったそうで、高校時代には、自転車でのバビロン旅行を二度も敢行したということ。なんと大胆な。現代の私たちとは、人生のスケールが違いますね。

ロレンスは、研究を通して身につけたアラビア語を駆使して、サウジの指導者たちの心も掴んだ。「知恵の七柱」を著して、彼らの素顔を伝えました。ピーター・オトゥール様。そしてあなたは、ロレンスの生き写しとして、私たちに彼の人生を伝えてくれました。時空を超えて、歴史の熱風を伝えてくれたあなたの姿は、僕の脳裏から消えることはないでしょう。

ささやかですが、CG画像でにてお姿を再現して、あなたの偉業を讃えることをお許し下さい。