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象のインターネット

elephant.png象たちはインターネット網でつながっている。

2004年12月26日のスマトラ沖地震で、津波がタイ南部の町カオラックを襲った。ここでは象が人間を救った。カオラックで飼われていたゾウ8頭は、スマトラ沖で地震が起きたころ、突然鳴き始めた約1時間後、再び鳴き、客を乗せていた複数のゾウが突然丘に向かってダッシュ。客なしのゾウもつながれていた鎖を引きちぎって後に続いた。当時ビーチにいた、外国人観光客ら少なくとも3800人は逃げ遅れ、津波にのみ込まれた。(当時のロイター伝より抜粋)

ライアル・ワトソン著「エレファントム」には、この話のような象についての信じられないようなエピソードが満載だった。(スマトラ沖地震での津波の話は無い)昨年末に手にした「エレファントム」は、早速私のお気に入りの一冊となった。しかし、残念なことにワトソン氏は、この本ともう一冊の「思考する豚」を残して、2008年にこの世を去ってしまった。

そのタイトルのとおり「エレファントム」は象の本だ。しかし、象についての魅力溢れる沢山のエピソードは、この世界に広がっている不思議な目に見えない世界を、鮮やかに描き出してもいる。象たちが持っている信じられないような知覚、通信能力。そして人間の理解を超えた、太古へ通じる記憶。失った肉親への強い追憶の気持ち。

象が持っているこうした優れた能力について知ると、人間という種族が持っている能力の限界、人間が築いてきた文明の持つ問題などについて、考えさせられてしまう。自動車に乗り、ライフルなどの武器を発ぶっぱなす人間は、確かに戦闘力において象を上回る。それによって、人間は、象牙製品を沢山作り、象を絶滅の危機に追いやることができた。しかし、人間の能力で象を凌駕しているものは、単純で野蛮な戦闘能力だけなのではないだろうか。ワトソン氏の目の前に、幻影のように現れては消える、象たちの幽玄なたたずまいと、大自然の王者としての雄大なる存在感には、とても人間などかなわないように思える。