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kazuosasaki blog

自動翻訳機の不思議

引き続き「ガモフ全集・別冊1」より

「去る者日々に疎し」という文章を、電子計算機で自動翻訳した結果が面白い。
かなり昔のことだが、あるひとが行った実験。電子計算機の黎明期に、自動翻訳(英語→ロシア後→英語という翻訳)を試みた結果、以下のような深淵な答えが得られたという。
初期値:「去る者日々に疎し( Out of Sight, Out of Mind )」
最終値:「見えない気ちがい( Invisible Maniac )」

私は自動翻訳の専門家ではないので正しい実験はできないが、とりあえずもっとも手近なところでひとつやってみることにした。お世話になったのは「excite翻訳」というサイトである。
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まず英語から日本語へ。
" Out of Sight, Out of Mind "は、ちゃんと「去る者日々に疎し」になった。

それでは日本語から英語へ。
「去る者日々に疎し」は、” It is ignorant of the person date that leaves. ”となる。なるほど。英語では、こういうふうに言えばいいのか!意外と変わった言い回しだ。

よし、ではもういちど、英語から日本語へ。
あらら、” It is ignorant of the person date that leaves. ”は、” It is ignorant of the person date that leaves. ”のままだ。変換されないぞ。簡単すぎて翻訳拒否なのか、難しいのか。

それでは。ちょっと原文をいじって、”that” と” date” をいれかえて、” It is ignorant of the person that date leaves. ” を翻訳して見よう。
「それは、日付がいなくなるのを人に知りません」

これならどうだと、"that"を抜いてみる。” It is ignorant of the person date leaves. ”
「それは人の日付の葉に無知です」
元がちゃんとした英語ではないのだから、これはしかたない。

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ちなみに「去る者日々に疎し」には、以下の英語訳もあると聞いた。
" The departed become distant over time, while those who come become familiar over time."
「去る者日々に疎し、生きる者日々に親し」をだいぶ論理的に言い表した感じの英文だ。これも、日本語に訳してみよう。

「去ることは時間がたつにつれて、遠方になりますが、来る人が、時間がたつにつれて、なじみ深くなります。」 これは結構わかる、わかる。やはり論理的な表現には強そうだな。論文の翻訳などには、自動翻訳が役に立つという話を聞いたことがあるが、うなずける。これをちょっとだけ修正してみる。「去ってしまった者は、時間がたつにつれて遠くになってしまうが、来る人は、時間がたつにつれて、なじみ深くなる」これなら、ほぼ意味が通じる。

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この実験にはきりがない、ということが分かってきた。別に、コンピュータによる自動翻訳を馬鹿にしているわけではないのだが、予想を超えた答えが出てくるところが、人間を超えているというべきか、超えていないというべきか。また一方で、人間が持っている「言語能力」というものの底知れぬ凄さを、改めて感じる。私自身にもある能力なのだろうが、不思議なものだ。

きりがないということをしりつつ、最後に「中国語→日本語」「日本語→中国語」もやってみよう。この際、思いついたことはやっておくぞ。

「去者日々疎、生者日々親」と中国語の欄に入力。
日本語欄には、「者に行って々Xは日、者の日々Xを生みます」(Xは簡体字なのか文字化け)と出た。

「去る者日々に疎し」と日本語の欄に入力。
中国語欄には「对离开的人每天疏远」と出る。

ん?しまった。私には中国語の知識が無いのだった。やってから気づくなんて。この結果について、私には判定できないのだ。今度、中国語の分かる誰かに聞いてみければ。