アイルランドに平和を
「アイルランドに平和を」という曲をご存知ですか?ポール・マッカートニー&ウィングスが1972年に発表したシングルです。当時の日本のヒット・チャートでも一位となりましたが、あっと言う間にBBCや各メディアで「放送禁止」となってしまいました。
実にポールらしい、美しいメロディとポップなサウンドの楽しげな曲。当時は無邪気な中学生だった僕は、「なんで放送禁止なの?」って不思議に思ったものだ。その後いつの間にかレコードでも聴けなくなって、iTunesで検索しても見当たらないので、もう二度と聴けないのかと残念に思っていた。
ところが先日、NHK時代の旧友から、ポール・マッカートニー・コレクションシリーズ」のCD『ワイルド・ライフ』に、ボーナストラックとして収録されている! ということを教えてもらい、無事に「20年ぶりくらいの再会」をはたしました。うれしかったー!そして感動。
このヒット曲について、皮肉屋のジョンは「歌詞が幼過ぎる」とコメントしたそうだが、いやいや、本当はその「幼さとシンプルさ」こそ素晴らしい。ジョンだって本当は、分かっていてコメントしたのに違いない。
さて、その歌詞なんです
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アイルランドはアイルランドの人達に返そう
彼らが取り返そうとしなくたって良いように
すぐにアイルランドをアイルランドにしよう
大英帝国さん、あなたは本当にすごい国だよ
あなたという国には僕みたいな人間はいない
でもあなたが海の向こうでやってることって
ご自分でよく見て、考えてほしいもんだよね
いったいあなたはアイルランドをどうしたい
好き放題やりアイルランド兵士に止められて
むちゃくちゃに逆ギレしちゃおうってわけ?
大英帝国さん自分では世界の人を自由にって
そう言っているよねでもアイルランドの若者
を牢屋にとじこめて気違いにしてしまうわけ
アイルランドはアイルランドの人達に返そう
彼らが取り返そうとしなくたって良いように
すぐにアイルランドをアイルランドにしよう
(今回も、相当ノリで約したのでいい加減でゴメン ☆1)
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血の日曜日という悲惨な事件を知って衝撃を受けたポールの渾身の作品。特にメロディーと歌詞が一体となって盛り上がっていくところがすごい。シンプルで幼い歌詞だからからこそ、ポールの本当の真心を感じることが出来る。感動的なプロテストソングだ。人の心を動かす力があるからこそ、BBCや世界各国のメディアは、この曲を放送禁止にしたんだ。本当のことを歌ってはいけない。
大英帝国は、アイルランド紛争の原因が自分たちにあることを認めなかった。だからポールの曲を放送禁止にした。1995年の「高速増殖炉もんじゅ」の事故についても真実は隠されたままだ。今回の福島原発の事故についても、真実の大半は徹底して隠し続けられることだろう。
「失敗の科学」の著者、池田圭一先生は、著書の中で語っている。公共事業での失敗は性質(タチ)が悪い。事故や損失が起きても担当者の責任のがれのために隠蔽されやすく、その内容が深刻であればあるほど秘密にされ、最終的に失敗を認めない。
日本のメディアは、これから、この隠される真実にどう向かっていけるのか。シンプルで幼い心で、純真に歌うしかないんじゃないのかな。本当に本当のことを。忌野清志郎さんがもし生きていてくれたら、ポールとコラボで、原子力発電の歌を作ってくれただろうか。ぜひストレートでワイルドな歌詞で歌ってほしかったな。
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☆1
Give Ireland back to the Irish
Paul McCartney & Wings