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kazuosasaki blog

巨大ステレオ3D

SANY1250.JPG「おおっ!出てくるー」 

やはり3D映画は、迫力ある大画面で見たいものです。水中からヌゥーっと巨体を現すジンベイザメ、ファイナルファンタジーのリアルな戦闘シーン、タヒチの夕暮れに揺れるヤシの木。映像が飛び出してくるだけでなく、なんだか空気の揺れや、飛び散る水滴が肌に当たるような錯覚。3Dシネマの可能性は限りないものがあると実感しました。

2010年3月10日(水)、Sony PCL さんにお邪魔して、巨大3Dシネマが上映できる「LEDモニター」を見せていただきました。そしてさらに、デジタルシネマの各種デモも見せていただきました。3D映像撮影の経験豊富な技術者の方々と、3D映画の将来について、いろいろとお話しを伺うこともできました。大変貴重な情報をいただいた一日でした。3Dコンテンツをデジタルシネマのスクリーンへの配給システムと組み合わせる。このスキームによって展開するビジネスには限りない可能性があります。またさらに、コンサートや演劇にも、3Dの演出は大きな変革をもたらすのではないでしょうか。

また、3D映像の撮影には、経験豊かなスタッフの存在が欠かせないことが良く分かりました。3Dシネマの撮影では、カメラレンズの角度などを慎重に調整する技術が欠かせません。ほんのちょっとのセッティングミスで、三次元的な効果が、台無しになってしまうのだそうです。そしてなによりも、3D映像の特性や、人間の認知システムを良く熟知したディレクターによる演出が非常に重要だということです。ジェームズ・キャメロンが、いよいよ偉大に見えてきました。やはり、こういう時代になると、カメラやレンズの扱いを、もともと熟知している監督が、強みを発揮しますね。リドリー・スコット監督も作ってくれるかな?
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それでは以下、本日勉強した「3D映像とデジタルシネマ」に関することをまとめてみます。なお、Sony PCL さんには、東京工科大学メディア学部の卒研プロジェクトである、エアープロジェクトの研究にも、ご協力ご指導いただくことをお願いしております。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

この写真で私たちが掛けているメガネは、偏光板方式によるものです。そういう意味では「IMAXデジタル3D」方式で使われているタイプと同種類です。ちなみに、3Dシネマに使われる「メガネ」には、以下のような種類があるのです。沢山ありますが、要するに人間の眼に向かって飛んでくる光をどのようにして、2つに分けるかということで、タイプが分かれます。以下、おおよそ3つに分けてみました。ちょっと長くなりますが、一応整理して押さえておきましょう。

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[1] 光をその波長(色)によって分ける
「アナグリフ方式」と「干渉フィルター方式」の2種あります。

まず「アナグリフ方式」です。これは昔から雑誌の付録などでも使われてきた、「赤と青」の色フィルターで光を分けるもの。当然カラー映像には向きません。白黒映画用なので、今はあまり使われないのかもしれません。

次に「干渉フィルター方式」ですが、これは難しい技術で良く分からないのですが「多重コートフィルターによって、RGB各2つの、6つの色チャンネルに分ける」ということですから、要するに「色で分ける=波長で分ける」ということでしょうか。「Dolby 3D」で使われています。このスクリーンで作るメガネはコストがかかります。また映画館では回収して洗浄する必要があります。

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[2] 光をその波の向きや旋回方向によって分ける
「直線偏光フィルター方式」と「円偏光スクリーン方式」の2種あります。

光の性質を利用して、縦と横の90度方向に分けるのが「直線偏光フィルター方式」です。「IMAXデジタル3D」に使われています。自然界にある光というものは、その波の向きがバラバラで、各方向のものが混じっています。でもこの光は、いわゆる「偏光フィルター」を通った時に、ある一定の方向に揃った光となります。(バラバラに歩いていたサラリーマンの集団が、駅の改札を通った直後は、並行して進んでいく感じ?)その並んだ角度の違った光を、右目と左目に振り分けます。この方式では、メガネをかけた観客が頭を傾けると問題が起こります。

「円偏光スクリーン方式」は、光を右旋と左旋にわける方式です。このメガネは「RealD」方式に使われています。光の波には、旋回して進んでくるものがあり、それには右旋回と左旋回があります。右目用映像と左目用映像で光の振動方向を右旋と左旋に変えて、その振動方向で入ってきた光のみ通す偏光板メガネを使うことで、左右の映像を分離するのだそうです。ちなみに「RealD」方式では、「右旋回と左旋回」の切り変えを一秒間に144回やります。つまり右目と左目で、それぞれ72回もの逆旋回光を見るということ!これって目が回らないの?ソニーは「RealD」方式と提携して3Dテレビを開発するというが、以下のシャッター方式も開発するらしい。

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[3] 左右の眼のシャッターを交互に開閉する

この方式が一番分かりやすいかな。要するに左目と右目で、交互に(同時には見ていない!)違う映像を見ると言うこと。「XpanD」方式で使われています。日本ではこの方式が最も普及しているとのことです。(通常のスクリーンでも上映できるので)ただし、メガネ自体は高価なものになりますし、各メガネのシャッターを、映像と同期させるシステムの導入が必要になります。パナソニックが全米で発売中の「Full HD 3D」方式や、フィリップスの「XpanD Active 3D」方式は、この技術をベースにしています。

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ということで、長くなりましたが、3Dメガネの分類からいうと、上の写真のメガネは「IMAXデジタル3D」で使われているのものと同じタイプの「直線偏光フィルター」方式なのです。しかし、今回私たちが見せていただいたモニターは、通常の3Dシネマの上映方式とは、根本的に違うものなのです。

通常「IMAX 3D」方式では、同一のスクリーンに、2台のDLP映写機で、映像を重ねるようにして上映します。(偏光メガネを通して、右目と左目が、それぞれ別の映像を見る仕組み)しかし、今日拝見したデモに使われているモニターは「LEDモニター」の特性をうまく活かした「ライン・バイ・ライン」方式というものです。  (続く)

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[ 3D映像技術関連 Link ]
アバター3D方式・完全制覇レビュー
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[ 上映方式ごとの代表的な映画館 ]

「Real D方式」ユナイテッドシネマ豊洲
「IMAX 3Dデジタル方式」 109シネマズ川崎シアター
「Dolby 3D方式」T・ジョイ 大泉 シアター5
「XpanD方式」TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン