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kazuosasaki blog

お金は眠らない

MV5BMTU5MDEzMzYwMF5BMl5BanBnXkFtZTcwNTcwMjUxMw@@._V1.jpeg世の中生きて行くのに、お金は大事です。手にしたお金をさらに増やし、人生の蓄えをより大きくしたいと思うのは、当然の人情です。

1987年の名作映画「ウォール街」の中で、ゴードン・ゲッコーというキャラクターが「強欲は良いことだ!( Greed is Good )」という台詞を叫んび、金を儲けまくった。世界中の金融トレーダーが、このキャラに強く共感した。共感どころか、ゴードン・ゲッコーという生き方は、その話し方からファッションまで、彼ら金融街の男達の手本となった。日本にもゲッコーの生まれ変わりみたいな有名人が出ました。

「皮肉なものだ」と、ゲッコー役のマイケル・ダグラスは言う。
「冷酷非道の守銭奴が現代のヒーローとは」。

この映画の中で、ゲッコーとは、主人公バド・フォックス(チャーリー・シーン)親子を、たぶらかして罠に陥れる悪役キャラだったはず。なのに、映画を見た人々は、この悪玉キャラのほうに惹かれた。自分の強欲を隠さない。手段を選ばず敵を切り捨て、弱肉強食の世界を生き抜くアウトロー。巨大な金の亡者。しかし、彼こそが現代が求めるヒーローだったのだ。

23年ぶりに作られた続編「ウォールストリート / Money Never Sleeps」。ゴードン・ゲッコーの辣腕ぶりは健在だ。「強欲は合憲だ( Greed is Legal )」が、今回の決め台詞。マネーゲームは彼の人生そのもの。観客の心配をよそに前作以上の凄腕を見せる。

しかし、前作でのインサイダー取引の罪で7年の刑役を経て、深い悟りと新しい人生観を得たゲッコーだ。金への情熱は変わらないが、よりミステリアスな行動パターンが、彼の人生の最終章を彩る。罪を悔い改めて復活した救済者なのか、不死身の金の亡者なのか。金と人生、仕事と家族、他人と自分。いくつもの価値観が複雑に混じり合う中で、ゲッコーと渡り合う主人公ジェイクの運命は? これが新作の見どころですね。

マイケル・ダグラス本人は、反原発活動でも有名な社会派俳優。原子力発電所の建設をめぐる陰謀を描いた「チャイナ・シンドローム」では、真実の報道を追求する熱血カメラマンを演じていました。この「ウォール街」二作でも、本当はマネーゲームの罪深さと虚無感を表したかったはず。それは、監督のオリバー・ストーンも同じだろう。

今回の続編の舞台となるのは、サブプライムローンの破綻から始まった金融危機に陥ったウォール街。世界を揺さぶったリーマンショック以前、大手証券会社や投資銀行は、サブプライムローンや、CDOなどのリスキーな金融商品を世界中に売りまくっていた。もともと信用性の低い借り手に貸したお金をもとにしているのだから、危ないに決まっているのに、それを格付け会社が保証した。だから暴落する。

続編に登場する新たにな悪役、ブレトン・ジェームス(ジョシュ・ブローリン)は、栄華を極めた末に、サブプライムローンの崩落の裂け目へと転落して行く。彼は、ヘッジ(危険を回避)することが出来なかっただけさ。もともとウォール街とは「暴走と崩落」を繰り返しているのだ。

5月31日、米格付け会社ムーディーズは、日本のソブリン格付け「AA2」を引き下げ方向で見直すと発表した。東日本大震災による、日本経済の立ち直りの遅れを懸念してとのことだ。こういう時こそ、ほんとうは「格上げ」で応援して欲しいのですがね。彼らには「人の世のなさけ」とは無縁のようです。

ヨーロッパでは、ギリシャの財政危機も待ったなしの瀬戸際のようです。6月17日、独仏首相がギリシャ債務危機への援助姿勢をしめした。さっそく110ドル上昇したダウ工業株30種平均だが、結局は42ドル高で伸び悩み。なぜかというと、同じ日にムーディーズが、イタリア国債を「格下げ方向で見直す」と発表したからです。

格付け会社の決定が、ユーロ圏の国家元首なみにも影響力を持っているっていうのは、一体どういうことなの。ギリシャの運命も、格付け会社の判断次第のようですしね。しかしまあ、さらに言うと、その「格付け会社」そのものも、株価を下げたりして大変だっていうんだから、もうわけが分からないです。

現代の若きゲッコーたちは、世界のどこに照準を合わせているのでしょうか。
明日から始まる世界の金融市場で、またはじまるマネーゲームの死闘。